家に「上がる」って?

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日本では家に入ることを
「家に上がる」と言います。
欧米は「家に入る」と言うのが普通です。

これは家の造りの違いからなんですが
日本の住宅は玄関より床が一段高くなっています。
上がり框ですね。

そうなりますと玄関より先に入るには
物理的に床の高さまで上がることになります。
だから家に「上がる」ということになるのです。

高床式倉庫.jpg


日本の弥生時代には高床式倉庫が造られてますよね。
穀物を保管するため床を高くし湿気を防ぐためです。
しかも床が高いと水害対策にもなり、虫や害獣の被害防止にも有効でした。
これがのちに住居にも応用されていったんですね。

ちなみに
東南アジアなど多雨多湿な所では
今でも高床の住居が使われています。
場所によっては靴を脱ぐ習慣もあるそうですよ。

今の住宅では、極端に高床の特徴は見られませんが
当時の姿って
実は日本のあちこちで見られます。

神社や祠がそれです。

高床式の建物は
豪族や貴族階級の住居として用いられました。
これに習い神の住まわれる神社を造ったと言われています。

「高貴な人は高いところに居られる」

という観念があるのですね。

その後に発展した書院造りでも、
身分の高い人が座る場所を一段高くして階級の差を示していたのです。

また日本では
床(畳)に【お膳】を置いて食事をし
布団を敷いて寝ていました。
靴を脱いで家に上がる。
これで生活の場を清潔に保つための習慣になったんですね。

落語家.jpg

落語では
ご隠居さん宅に熊さん・八つぁんが来たとき
たいていは玄関先や縁側で話して帰ります。
よほどの話のときだけ家の中に招き上げました。
日本人はお寺や神社と同様、
家も神聖な場所と考えていたので
家に上げるのも特別な意味があったのでしょうね。

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